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2010.02.04

100204 日本ではiBooksの普及は絶望的?

4_o__2 1/27のAPPLEのiPad発表は、新しいパソコンの時代を予感させる内容でした。
 今まではパソコンは専用機として、専用ラックや文字通りデスクトップに置いて使うもの、携帯やiPhoneなどのPDAは外出先で使うものと云う色分けでしたが、iPadは10年も前にビル・ゲイツが予言した通り、お茶の間でのパソコン利用を定着させる契機になる商品だと思います。

 1/27の夜、Tweetしたように、iPadが一番似合うシーンは、自宅の部屋から部屋へ、居間からトイレ、キッチン、お風呂場、寝室とパジャマ姿でiPadを小脇に抱えてうろうろするスタイルです。老眼鏡もスタイラスペンもいらないし、電源も要らないから本体だけですみます。

 しかし、日本ではその楽しみ方に水を差すような問題が、iBooksにはあるようです。

 数ヶ月前にもgoogleが出版物のコンテンツをデータベース化して、インターネットで公開するという計画を日本では断念すると、話題になりましたが、iPadを使ったiBooksの場合も、日本の出版物の販売に関しては流通機構のタガがあって、街の本屋さんに始まって、大手のブックストアまでもが既存流通を脅かすものとして猛反対しそうな風潮だそうです。

 昨日のASCII.netに掲載されていた池田信夫氏の記事:iPadは「出版のユニクロ」の出るチャンス には以下の記載があります。
 日本では出版物に関しては価格カルテルである、再販売価格維持が認められているため、定価販売以外では出版物の販売は認められないためです。

ある編集者によると「出版業界の状況は非常にきびしく、日販(大手の取次)が在庫を減らすため『総量規制』で中小の出版点数を絞っている。この状態で日販の頭越しに電子出版など開始したら、『おたくはiPadで売るから、うちで扱わなくてもいいでしょ』などと意地悪されるのを恐れて、電子出版に踏み切れない」

 もちろん、流通を握っている日販が、APPLEと調整し、紙メディアの割合を現在の半分程度に減らし、その分をiBooksなどでのダウンロード販売に変えることで、出版物の返品の山に埋まる出版社は労せずして、製造原価ゼロで販売利益が入ってくるし、日販にとっても一定の扱い手数料が流通コストゼロの収益になります。
 問題は街の本屋さんや大手のブックストアがどの程度売上減少になるかです。
 今まででも公立図書館では、地域の住民に対して最新の本も含めて無料貸し出しをしていますから、同じようなものですが、APPLEが出版物のオンライン配信を始めると、規模が桁違いですから、読み捨てるような週刊誌や新聞のたぐい、出張の車中や通勤電車の中で読むような文庫本なんかは売上が激減するでしょう。

 悩ましい問題ですが、レコード業界の二の舞にならないよう四方丸く収まるような解決策に期待したいです。
 ちなみに、きよもりの場合ですが、iBooksが普及したら、文庫本は全集やシリーズのような小説は今まで通り購入しますが、読み切りはとりあえず、iBooksで購入して読み終わってから、もう一度読みたいとか、誰かにも読ませたいような印象に残る本はやはり本屋さんかAmazonで買うことになるでしょう。
 山のガイドブックや、パソコンの本はiPadで読むには向いていないし、いつ必要になるか判らないから印刷物でないと意味が無いと考えています。

【引用記事】

池田信夫の「サイバーリバタリアン」 ― 第103回
iPadは「出版のユニクロ」の出るチャンス
2010年02月03日 12時00分更新
文● 池田信夫/経済学者

リスクもリターンもない日本の書店

 アップルの発表したiPadは、さまざまな話題を呼んでいる。アマゾンのKindleがハードウェアもソフトウェアも英語版しかないのに対して、アップルは日本語ホームページも立ち上げて日本で売る姿勢を見せており、3月に発売されるときは日本語表示も入力も可能だ。しかし残念ながら、日本語の本を読むことはできない。書籍ソフト「iBooks」の日本語版がないからだ。日本で発売されるiPadは、iPhoneを4倍程度に拡大したものにすぎないのである。

4_o_iBooksを表示させたiPad。日本のアップルのサイトでは、iPadの情報はあっても、iBooksの情報はない
 ただ、そのうちiBooksが出る可能性もある。今でもReaderbox>というiPhone用の書籍ソフト(有料)があるので、青空文庫などの無償で配布される本は読める。問題はiPadで売れる本が出てくるかどうかだが、今のところその見通しはほとんどない。ある編集者によると「出版業界の状況は非常にきびしく、日販(大手の取次)が在庫を減らすため『総量規制』で中小の出版点数を絞っている。この状態で日販の頭越しに電子出版など開始したら、『おたくはiPadで売るから、うちで扱わなくてもいいでしょ』などと意地悪されるのを恐れて、電子出版に踏み切れない」という話もある。

 この背景には、日本の特殊な書籍流通システムがある。書籍は委託販売で、小売店で売れ残ったら返品できる代わり、再販制度(価格カルテル)で定価が決められている。在庫リスクを負うのは、取次ではなく出版社だ。最近では返品率は50%近くに達し、返品の山に埋もれて倒産する中小出版社が続出している。また定価のうち出版社に支払われる割合は、大手出版社と中小では差が大きいと言われている。

 このように問屋が価格をコントロールする定価販売システムでは、小売店にはリスクはないが、価格競争でもうけるリターンもない。これはユニクロ(ファーストリテイリング)の登場前の衣料品業界と似ている。ユニクロの柳井正社長は、このように「小売店を生かさぬよう殺さぬよう」利用するシステムでは成長できないと考え、製造直販に踏み切った。在庫リスクを取ることによって、利益も100%取るシステムを構築したのである。

出版社は古い流通機構を守ろうと自縄自縛

 iPadが売れても、こうした古い流通機構が変わらない限り、日本では電子出版は困難だろう。書籍流通については公正取引委員会も問題視し、過去に何度 か内偵が行われたが、結果的には立件に至っていない。返品も原価率も取次が強制したものではなく、他の問屋を使うのは出版社の自由だ、というのが取次側の 主張である。しかし日販・東販のシェアは合計80%で、この2社に取り扱ってもらえなければ、ほとんどの出版社はやっていけない。これは取次の「優越的地 位の濫用」にあたる疑いも強い。

 再販制度が残っているのはもう新聞・出版と音楽CDだけだが、公取委が調査すると新聞業界が「http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51292390.html活字文化があぶない」 などとヒステリックなキャンペーンを繰り広げて再販を守ってきた。出版のような弱小業界 で旧態依然たる流通機構が残っているのは、マスコミの政治力のおかげなのだ。しかし音楽産業で証明されたように、電子流通によって古い流通が「中抜き」さ れる運命は避けられないし、避けるべきではない。流通業者が電子流通を妨害することは消費者の迷惑になるばかりでなく、流通機構の改革を遅らせ、アップル やアマゾンのような外部の業者に主導権を握られる結果になる。

 紙が電子流通になっても、知識を創造する出版社の本質的な機能は変わらない。今は著者の印税は1割しかないが、流通コストが下がれば、アマゾンやアップ ルのように著者が7割とることも可能になり、今は著述業で生活できない著者も生活できるようになるかもしれない。在庫リスクもなくなるので、出版社は企 画・編集・著作権管理を行なうエージェントとしてローコスト・オペレーションに徹すれば生き残れる。

 ただし電子流通になると売り上げも減るので、今の高給サラリーマンを多数雇う出版社の組織は維持できないだろう。つまり新聞・テレビと同じく、出版業界 の問題はネット流通による利益が少なすぎることではなく、固定費が多すぎることなのだ。出版社が古いシステムを守るため自縄自縛になっている現状は、ユニ クロのような低コストのベンチャー企業が出版に参入するチャンスである。

筆者紹介──池田信夫
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1953年京都府生まれ。東京大学経済学部を卒業後、NHK入社。1993年退職後。国際大学GLOCOM教授、経済産業研究所上席研究員などを経て、現 在は上武大学大学院経営管理研究科教授。学術博士(慶應義塾大学)。著書に、「http://www.amazon.co.jp/gp/product/4478011923?ie=UTF8&tag=ascii-trend-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4478011923希望を捨てる勇気―停滞と成長の経済学 」(ダイヤモンド社)、「http://www.amazon.co.jp/gp/product/4822247236?ie=UTF8&tag=ascii-trend-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4822247236なぜ世界は不況に陥ったのか 」(池尾和人氏との共著、日経BP社)、「http://www.amazon.co.jp/gp/product/456969991X?ie=UTF8&tag=ascii-trend-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=456969991Xハイエク 知識社会の自由主義 」(PHP新書)、「http://www.amazon.co.jp/gp/product/4822245969?ie=UTF8&tag=ascii-trend-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4822245969ウェブは資本主義を超える 」(日経BP社)など。自身のブログは「http://ikedanobuo.livedoor.biz/池田信夫blog 」。

【Engadget日本版の記事】 日本では当分IBooksは使えないようです。
 iPad日本版ページがオープン。3月から発売、 iBooksの記述なし

【日経 ITproの記事】 iPad及び同様の機器は5年後には5700万台規模の新しい市場を形成するとの予想です。ちなみにIPhoneとiPod Touchは発売後2年の09年9月現在、5000万台出荷されたそうです。
 iPadなどのタブレット・デバイスは5年後に年5700万台市場に---米調査会社

【「googleが出版物をデータベース化」の記事】 記事の原文(YOMIURI ONLINE 09/11/14)は消されています。
 記事のキャッシュ

★グーグル訴訟に修正和解案、日本の出版物除外

・書籍データベース化を巡る米グーグル社と米作家組合、全米出版社協会との和解案に ついて、グーグル社など和解当事者側は13日深夜(日本時間14日午後)、修正案を ニューヨークの連邦地裁に提出した。

 同案は、日本や仏、独などからの異議申し立てを受け、和解案の対象を「米国著作権局に 登録済みの書籍、または米、英、オーストラリア、カナダの4か国で出版された書籍」に 限定し、それ以外の書籍の著作権者を除外した。これで日本の出版物はほぼ対象外となり、 影響を受けないことになった。

 修正案は、米司法省が「米著作権法や反トラスト法に抵触する懸念がある」として、外国の 著者や出版社の懸念への対応、著作権者保護策の強化、競合他社も利用可能な仕組み 作りなどに関して変更を求めたことを受けたもの。和解成立には同地裁の承認が必要で、 修正案提出を受けて、同地裁は関係者などからの意見聴取などの日程を決めるが、 和解問題の決着は来年に持ち越される公算が大きくなった。

 米グーグル社の発表によると、修正案はまた、〈1〉著作権者不明の書籍について、 今後特定される可能性のある著作権者の利益保護に向けた組織を設立する 〈2〉データベース化された絶版書籍、著作権者不明書籍の商用利用に書籍小売り各社の 参加を認める――などとしているほか、著作権者が書籍電子化に関して、グーグル社に 不利な取り決めを他のオンライン企業と結ぶことを事実上禁じた条項を削除することで、 競合他社がグーグルと競争できる道を開くものとなっている。

 だが、米ネット小売りのアマゾンやマイクロソフト社、米ヤフーなどで作る反グーグルの 「オープン・ブック連合」は、修正案について、「小手先のまやかしに過ぎない」などと声明で 批判した。

Posted on 2月 4, 2010 at 12:55 午後 |

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